輪屋てんやわんや

たんぽぽ師匠
野菜をあつかうお店だけに、輪屋で働いていると“自然や四季”を肌で感じる機会が多いのですが、そんな中でも、ひときわ強烈に自然の底力を見せ付けてくれる存在があります。うちのお店と隣のお肉屋「松坂屋さん」の間の電燈の裏にひっそりと存在している「タンポポ君」です。
このタンポポ君に初めて私が気付いたのは、輪屋をオープンして半年くらい経った春頃のことです。フッと何かが目に入ってそちらを見てみたら、いきなり満開のタンポポがコンクリートの上に咲いていました。半年間も全く気がつかなかったのに、いきなり満開。その時は一瞬ギョッとしながらも「わ?♪ タンポポだ?すごーい?」と無邪気に喜んでいました。それからしばらくの間、目を楽しませてくれていたタンポポですが、数週間後には、とっくの昔に綿毛が飛んでいった、力尽きた「元タンポポ」になっていました。その後も見るともなく見ていると、葉っぱも風化しだし、梅雨時期には雨と泥で見る影もなくなり、ついにはゴミのようになってしまったので、「よしよし、よく頑張った」と心の中でタンポポの健闘を称えながら、残りの葉っぱというかスジみたいなものを引きちぎりました。それから真夏が過ぎ、秋が過ぎ、年を越し、もうすぐ春になるのかなーという季節になった頃、フッと地面を見ると「あああっー!タンポポ君!!」そう、私が引導を渡したと思っていたタンポポが立派な葉っぱをコンクリートの上に広げていたのです!! 「こんなに目立たないところで、誰にも気付いてもらえないのに、おまけにゴミとまで言われたのに(私に)なんてけなげなんだ!! 素晴らしい・・・。」という訳でそれ以後はタンポポ君をわが心の師として、嫌な事があるとお店の前を掃きながらタンポポ師匠に愚痴る私でした。もちろんそれからはタンポポ師匠が汚くなっても、ちょっとゴミっぽくなっても、タンポポ師匠を引きちぎるような無礼はしていません。
しかし、きっとタンポポ師匠が人間の言葉を話せたら「君、ちょっと愚痴多い。」と注意されることでしょう。私もいつかタンポポ師匠のようにいつも平常心で足元をがっちりと固めながら自分のするべきことを着実にやり遂げる、そんな人間になりたいと思っています。
今年も師匠は葉っぱ二枚にちょっと傷みがありますが、元気です!!

と思っていたら!! 何とタンポポ師匠の身に悲劇が!!! 詳しくは最終ページへっ!!!