輪屋てんやわんや

 

2001年の初夏でしたでしょうか。
東急目黒線・大井町線の乗換駅である大岡山駅近くの商店街を歩いていたら
明らかに他のお店とは色合いが違う(何だか土っぽかった(笑))小さなお店の入口の脇に張り紙があるのを見つ
けました。
 
「自然食品店 経営者募集」
 
張り紙には、そう書いてありました。
 
すぐにお店に飛び込んで「私がやります」と言ってしまっていました。
大変な割には、それほど儲かることはないであろうことは、すぐに察しがついたものの、何かに引き寄せられる
ように、導かれるように、その場所で「輪屋」というお店を始めました。
経験もなければ何もないところからのスタートでした。
 
「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」すら、まともに言えないところからのスタート。
ほうれん草と小松菜の違いもわからないところからのスタート。
なんせレジがないことに、お店のオープン前日に気づいたくらいですから(笑)
 
お店に必要なことは、お客さんと農家さん、業者の方たちから一つ一つ教えていただきました。
たくさんの方たちと出会いました。
 
お金がないので食べるのはお店の売れ残りばかり。
売れ残りといっても、野菜は今朝採ったものをその日と明くる日で売りますから、3日目の野菜です。
普通のお店なら新鮮なものとして売るものです。
 
私達にとって新鮮な野菜というのは今日採ったものでしたから、3日目は超古い感じだったのです。
今でもそのように感じていますが。
 
ともかく、そんな「売れ残り」ばかりでしたので、とにかく美味しかった。
 
わかりますか?本物は質素でも超贅沢なのですよ。
「なんとか弁当」の売れ残りとかとは全く別物です。悲壮感、貧しさはありませんでした。
上で最高に贅沢なものは、自然の営みの中で自然に育ったお米や野菜、本物の塩と本物の味噌でつくったご飯とお味噌汁とお漬物・・・
育てなくても自然に採れる果物や木の実。そんなものなんですよ。間違いなく。
めっちゃ自然で単純。学問や経済なんて入る余地はないのよ、本当は。
 
そのようなものを食す幸せをたくさんの人に味わっていただきたくて、ずーっと輪屋を続けてきました。
 
とは言ってもね、元々一箇所でジーッとしていられない私達の性分は変わりません。
輪屋のことが大好きですけど、本当にここに魂を入れてくれる人に譲らなければならんなーと最近思うようになりました。
 
新しく魂を吹き込む人が必要です。
 
あなたからのご連絡を心からお待ちしております。
 
最初の在庫の仕入れ資金は必要ですが、相談にはのれます。
 
まずは心意気。
 
 
輪屋 手嶋恵太・裕子